著者紹介

山崎 力

1985年東京大学医学部医学科卒業。虎の門病院循環器センター内科レジデント、東京大学医学部附属病院第三内科助手、東京大学保健管理センター講師、東京大学大学院医学系研究科薬剤疫学講座客員助教授、東京大学大学院医学系研究科クリニカルバイオインフォマティクス研究ユニット特任教授、東京大学大学院医学系研究科臨床疫学システム講座特任教授を経て、現在東京大学医学部附属病院臨床研究支援センター教授(センター長)および東京大学医学部附属病院検診部部長。日本循環器病予防学会理事。日本高血圧学会評議員。国立大学附属病院臨床研究推進会議代表幹事。

山崎 力

山崎語録

“ いいとこ取りの情報だけを持ってきて、都合のよいことばかり強調する時代ではなくなってきている。 ”

自分に都合のよい情報になっていないか、見直そう。

―第1章 spin 東スポ化する論文たち P.11

“ 論文を読み込むのは大事だが、読むコツをわかっていないと騙されることもある。 ”

ヘタに読むくらいだったら、大きな図表を中心にざっと見ていく方がよっぽど正しいメッセージを読み取ることができる。

―第1章 spin 東スポ化する論文たち P.15

“ 君の会社の製品が臨床試験でプラセボに負けていたっていいんだ。他に使う理由があるんだから。問題は君がネガティブな情報を隠したことだ。 ”

MRは誤解している。患者さんのために、ネガティブな情報なんてない。

―第1章 spin 東スポ化する論文たち P.57

“ 多くの臨床家が、派手な情報提供に左右されやすいことは、皮肉にもディオバン事件によって証明されてしまったわけだ。 ”

ディオバン事件は、情報の受け手の臨床家側に問題がないわけではないのだ。

―第1章 spin 東スポ化する論文たち P.58

“ 臨床家も、疑うだけでは何も生み出さない。 ”

皆がもっと統計リテラシーを高め、製薬企業が持ってくる情報を価値あるものにし、共に高めていくことができれば…。

―第2章 ディオバン事件の背景にあるもの P.83

“ 臨床試験の本質は、論より証拠である。 ”

臨床試験で得られた結論がたとえ望んでいたものでなくとも、結果を受け止めなくてはならない。そこからだ。

―第2章 ディオバン事件の背景にあるもの P.85

“ 善意ある熱心で優秀な医師たちの無意識のバイアスがいたずらをする。 ”

無意識のバイアスは、無意識であるがゆえに、悪意ある不正行為をさせないようにすることよりも対処が難しい。

―第2章 ディオバン事件の背景にあるもの P.96

“ 統計のリテラシーが高まるのは喜ぶべきことだが、本当に高まっているのか? ”

そもそも、そんなに統計は万能かというとそうでもない。

―第3章 spinを見破るための論文吟味 P.141

“ 腐ってもRCTなどということはない。当たり前だが、腐っているRCTは腐っている。 ”

RCTというだけで、エビデンスレベルが高いというのは大きな誤解。

―第4章 ランダム化比較試験は最強か? P.163

“ 研究者が臨床試験を行う場合、論文にすることは被験者との約束であり契約である。 ”

不正で論文が消えるということは、多くの協力してくれた患者さんのデータが、すべて水泡に帰してしまうということだ。

―第5章 ディオバン事件を起こさない国づくり P.183

“ どう言葉を換えても、臨床試験というのは一種の人体実験である。 ”

人体実験と言い換えるだけで、お金儲けの道具にはなりえないことがわかる。

―第5章 ディオバン事件を起こさない国づくり P.187

“ 臨床試験に出資する理由が、「自分たちの持っている薬の商品価値を高めるために、いい結果を出してほしい」という思いにも裏打ちされていると考えるのは当然だ。 ”

でも嘘をついてまでとは思っていないはずだ。

―第5章 ディオバン事件を起こさない国づくり P.189

“ とにかく、ちょっとしたことが不正行為になってしまうことがあるという認識に立つこと。 ”

臨床試験を実施する際の心構えとして、不正行為を正義(患者のため)と勘違いしていないか自問することが大切だ。

―第6章 ディオバン事件を起こさない人づくり P.223

“ はっきり言うが、お金を集められる人こそ、研究者として優秀であるというのも真実である。 ”

研究者として期待され、信用されているからこそお金を出してもらえるのだ。なにもコソコソしなくていい。

―第6章 ディオバン事件を起こさない人づくり P.240

“ COIを管理する第一歩は、研究者が自分のCOI状態を堂々と開示することである。 ”

むしろ信頼の証だと思おう。

―第6章 ディオバン事件を起こさない人づくり P.246

“ お作法を知らない臨床試験は子どもの落書きと同じ。 ”

日本の臨床研究が信頼を取り戻すために、研究者がもっと臨床研究のお作法を勉強すべきであることは確かだ。

―あとがきにかえて 捏造しない・させないための補講の時間 P.255

“ 臨床研究に対する製薬企業のサポートが「悪」であるような風潮はおかしい。 ”

こんなことをいうと怒られるかもしれないけどね。

―あとがきにかえて 捏造しない・させないための補講の時間 P.261